ファゼンダ・トラピアを営む夫婦(レナートさんとアンドレアさん)は、アンドレアさんの母親が生まれ育ったブラジル北東部の農場に敬意を表して、同じトラピアという名前に変更しました。また現在は息子のルーカスと共に、スペシャルティコーヒーの生産に注力し、生産処理を行うための様々な設備も整え、品質の高いコーヒーが生産できる素地を整えています。
トラピア農園は、地形の起伏に富んでおり、急斜面の山岳地域においては手作業で収穫が行われ、平地では機械収穫を行っています。収穫されたチェリーは農園からほど近いミルに運ばれ、水路での比重選別やパルプドナチュラルであれば果肉除去などのプロセスを当日中に行います。今回のロットは、農園の中で最も生育条件の良かった2020年の2回目の収穫ロットで作られています。収穫したチェリーは5日間パティオで乾燥した後に、マシンドライヤーを用いて40度の風を2日間当てて仕上げました。その後、50日間ゆっくりとレスティングし、均一な水分値と生豆の組織の安定化、風味の熟成が行われています。乾燥方法においては、最新の乾燥機の性能が非常に良いことから、天候条件に左右されるパティオのみでの乾燥にこだわらずに、機械式ドライヤーを併用する事で一番理想的な乾燥プロセスを再現・コントロールする事に重きを置いて、品質向上を狙っています。
雇用や環境への取り組みも熱心に取り組んでおり、従業員の離職率も非常に低く、スキルを持ったスタッフが育ち、高い品質を維持してくれていると言います。また、敷地の30％は保全地域として自然林となっており、泉や滝などが保全され、環境資源豊かな農園設計がなされて、コーヒー生産の他に林業やオリーブの栽培、養蜂がサスティナブルな考えのもとで行われています。自然環境を保全していく活動の１つに、在来種による自然林を保つことで野生動物の生息地となる事を目的の1つとしており、トラピア農園だけでなく近隣の農家とパートナーシップを結び地域全体として環境を整えるプログラムを取っています。